「ブレードランナー スケッチブック」その3 「2049」で変わったもの。変わらないもの。
ブレードランナーとシド・ミード
シド・ミードは今回「ブレードランナー2049」のプロジェクトにも参加していて、今回出版された「THE MOVIE ART OF SYD MEAD VISUAL FUTURIST」によるとデッカードが身を隠しているホテルのデザインをふたつ手がけている。
監督はモダンな“シド·ミード的"ホテルの隣にある“クラシックなカジノ”が見たいといい、ホテルは高級なものを望んだそうだ。
ミード曰く
これらのスケッチは、監督とヴィジュアルとスタイルの方向性を探るために描いたものだとのことだが、映画の世界観や雰囲気のみならず、デッカードのこれまでの生活ぶりや心の葛藤を端的に表している。
これらは “モダンでなめらかな外観と伝統的なスタイル”を組み合わせてあるが、ブレードランナーの廃墟と化した、2019年の風景はまるで現在の私たちが1940年代に対して見る風景でもある。
前回ブログ参照(http://soshaku.hatenablog.com/entry/2017/11/08/141601)
現代のビジョナリスト
「デュエリスト」の回でも述べたが、リドリースコットは絵から世界観やストーリーを探っていく(http://soshaku.hatenablog.com/entry/2017/09/29/095934)。
それをまるで見てきたかのようにビジュアルに描き起こすシド・ミードはやはり現代のビジョナリストなのだろう。
先日Googleの人に話を聞く機会があったのだが、成功した広告事例のうち、ビジュアルが果たした効果は70%だと言う。つまり広告を見る大部分の人々は、ビジュアルからメッセージを受け取っているのだ。
本書の冒頭に寄せてドゥニ・ヴィルヌーブは言う。
「現在のわたしたちは、20世紀から見た未来にいる。そして、歴史がおなじあやまちをくりかえすことは止められないと思い知らされている。いまの時代に、悪夢にまみれていない未来を夢見る人間がいるだろうか?
人類のほとんどが自分たちの未来を怖れているいま、わたしたちがかつてないほど必要としているのは、よりよき明日のヴィジョンを具体化できる、知識の豊かな夢想家たちなのだ。」
リドリー・スコットもシド・ミードもそれら夢想家のひとりであり、また預言者であることは間違いない。
以前ブログで紹介した「星を継ぐもの」にも通じるところがある。→http://soshaku.hatenablog.com/entry/2017/09/05/102049
今回紹介した、「THE MOVIE ART OF SYD MEAD VISUAL FUTURIST」はシド・ミードの過去の仕事をこれでもかというくらい大量に紹介している。今見てもこれからくるであろう未来における人類の輝かしい発展に心躍らせられる。
あと「2049」未見の方は、本書と一緒にまずは劇場の大画面でみることを強くお勧めする。未来と人間について考えさせられるよ!
今日の試験に出るストーリーテリング
ストーリーはビジュアルから発想される。その割合は70%!
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